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ロジスティクスレポート No.20

消費税増税が出荷量・入荷量に及ぼす影響に関する調査

はじめに

2014年4月より、消費税率が現行の5%から8%に引き上げられるが、これを受けて、広範囲な業種において”駆け込み需要”が発生している。駆け込み需要は、昨年10~12月期から今年1~3月期にかけて、消費財を中心に発生のピークを迎えると考えられ、国内向け出荷量は相当に盛り上がるものとみられる。
その一方で、消費税増税後には、駆け込み需要の反動に加えて、増税に伴う実質所得の減少を反映した個人消費などの減退により、国内向け出荷量についてはある程度の落ち込みが避けられないであろう。
このように出荷量の大きな変動が予測されることに加え、昨年秋頃よりトラックやドライバーの不足が顕在化しつつあることもあって、物流事業者などはトラックやドライバーの適正な配置に関して非常に苦慮しているものと推察される。そこで、こうした変動の大きさを大まかながら定量的に把握することを目的に、荷主企業に対してアンケート調査を実施した。
アンケート調査は、昨年12月初旬に、荷主企業(製造業、卸売業)2,500事業所に対して実施し、1,032事業所から回答を得た(回収率は41.3%)。

1.消費税増税を見越した駆け込み需要の発生に伴う国内向け出荷量の変化
【駆け込み需要は2014年1~3月期がピーク】

消費税増税を見越した駆け込み需要の発生に伴い、国内向け出荷量が「増加した」という事業所数をみると、2013年4~6月期および7~9月期では、それぞれ31件(3.0%)、64件(6.2%)と少なく、8割以上が「影響はない」と回答している。
しかし、10~12月期においては「増加する見込み」が205件(19.9%)となり、2014年1~3月期では407件(39.4%)と約4割に達している。なお、1~3月期においては、「不明」との回答も240件(23.3%)あり、動向を計りかねている事業所も相当数あることが分かる(図1)。 駆け込み需要の発生に伴う国内向け出荷量の増加率(前年比)についてみると、各期とも「10%未満」という事業所が50%前後、「10%以上20%未満」という事業所が3割強となっているが、「20%以上」という事業所も5%前後ある(表1)。

【10~12月期までは生産財、投資財が中心、1~3月には消費財も】

駆け込み需要の発生に伴い、2013年10~12月期に国内向け出荷量が「増加する見込み」と回答した事業所を業種別にみると、「化学・プラスチック」(26件)、「木材・家具」「電気機械」「その他の製造業」(各22件)、「一般機械」(21件)、「輸送用機械」(19件)、「鉄鋼・非鉄」(17件)などが多く、生産財や投資財を中心に駆け込み需要が発生しているものと推測される。
また、2014年1~3月期では、「化学・プラスチック」(51件)、「その他の製造業」(37件)、「一般機械」「電気機械」(各36件)、「輸送用機械」(34件)、「食料品・飲料」(30件)などが多く、生産財や投資財に加えて、消費財においても駆け込み需要が発生するものと見込まれる(表2)。

図1 駆け込み需要の発生に伴う国内向け出荷量の変化
図1
表1 駆け込み需要の発生に伴う国内向け出荷量の増加率(前年比)
表1
表2 駆け込み需要の発生に伴い国内向け出荷量が増加した(増加する見込みの)事業所数
表2
2.国内からの原料・中間財・製品などの仕入れ量(入荷量)の変化

消費税増税を見越した駆け込み需要の発生に伴う、国内からの原料・中間財・製品などの仕入れ量(入荷量)の変化についてみると、「今年度上期において、すでに仕入れ量を増やしている」と回答した事業所は37件(3.6%)と少ないものの、「今年度下期において、仕入れ量を増やす予定である」との回答は198件(19.2%)と比較的多い。
一方、「とくに仕入れ量を増やす予定はない」が583件(56.5%)と最も多く、「不明」が205件(19.9%)、「その他」(注:「検討中」「1月に判断する」など)が15件(1.5%)となっている(図2)。
駆け込み需要の発生に伴い、「上期に仕入れ量が増加した」と回答した事業所を業種別にみると、「木材・家具」(9件)、「化学・プラスチック」「一般機械」(各6件)などが多い。また、「下期に仕入れ量を増やす予定」と回答した事業所を業種別にみると、「化学・プラスチック」(25件)、「その他の製造業」(24件)、「電気機械」(19件)、「一般機械」(17件)、「輸送用機械」(16件)などが多くなっている(表3)。

図2 駆け込み需要の発生に伴う国内からの仕入れ量(入荷量)の変化
図2
表3 国内からの仕入れ量(入荷量)が増加した(増加する見込みの)事業所数
表3
3.来年度における国内向け出荷量の見通し

来年度(2014年度)における国内向け出荷量の見通しについては、「出荷量の減少が見込まれる」と回答した事業所は68件(6.6%)と比較的少ない。今年度の出荷量と比較した減少率の見通しについては、10~20%の減少を見込む向きが多いが、なかには25%減、30%減と大幅な減少を予測している事業所もある。
また、「現在のところ不透明な部分が多いが、出荷量が減少する可能性は否定できない」が472件(45.7%)と多く、「出荷量の減少が見込まれる」と回答した事業所と合わせて半数以上の事業所が出荷量の減少を懸念していることになる。
それ以外では、「駆け込み需要は発生していないので、出荷量は大きく変動しない見通しである」が273件(26.5%)、「景気の好転などを受けて出荷量は増加が期待できる」が64件(6.2%)、「上期は出荷量減少の懸念があるが、下期には持ち直す見通しである」が69件(6.7%)、「その他」(注:「輸出のウエイトが高いため影響は小さい」「公共事業関連のため、政府の方針次第」など)が12件(1.2%)となっている。
なお、「不明」が180件(17.4%)あり、消費税増税後の2014年4~6月期以降の動向を計りかねている事業所も多いことが分かる(図3)。

図3 来年度における国内向け出荷量の見通し
図3
4.まとめ

日通総合研究所「企業物流短期動向調査」(2013年12月調査)によると、2013年10~12月の国内向け出荷量『荷動き指数』はプラス19と、調査を開始した2002年以降では最高値となった。こうした国内向け出荷量の盛り上がりは、足元における景気の好転に加え、4月からの消費税増税を見越した駆け込み需要の発生を受けたものである。本調査結果をみても、2013年度下期においては、多くの事業所が駆け込み需要の発生に伴う国内向け出荷量の増加を予測している。
その一方で、消費税増税後においては、国内向け出荷量は一転して減少に向かう可能性が高いと考えられるが、増税に伴う影響の大きさについては、現状では不透明である。
消費税増税が国内向け出荷量に及ぼす影響については、一定期間を経た後、再度検証してみる必要があろう。今年の夏頃、改めて荷主企業に対してアンケート調査を実施し、出荷量の動向等について調査したいと考えている。

(担当:経済研究部 佐藤 信洋)

発行|2014年2月5日
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